June 25, 2004 12:00 AM

時計よ、誰がために時を刻む-2

(June 22よりつづく)

時間の正確さでいえば、10万年に1秒しか狂わない電波式の腕時計が一番。auの端末に限っていえば、それに準ずる。次はクォーツの時計で、最後に機械式の時計となる。

前者の人はオマケのケータイの時計でという論旨なのだが、auの端末に限っていえば間違いなく機械式の時計よりは精度が高い。だから、電波時計以外の時計で測るよりはケータイで測った方が正確だ。

しかし、前者の人は時計の正確さにクレームを付けているのではない。ケータイで時間を測る行為の軽さ、様式美の無さについて言及しているのだ。今の世の中時計をケータイ代わりにしている人なんていくらでもいるし、腕時計なんてしなくても一向に困らない。その医師も普段からケータイで時間を見ていたのだろう。

実は時計の革バンドはバイ菌の巣だ。臨床医が付けているネクタイの半分以上がブドウ球菌に汚染されているというデータもある。洗濯をしない上に、咳などをする患者の身近にあるからだ。気軽に洗うことのできない革バンドの時計も同様だし、指輪なんかもバイ菌の巣になりやすい。

医師の清潔さを維持するという観点でいえば、時計よりケータイで時間を見た方が正しいと言えるかもしれない。

ただ、この医師に関して問題があるとすれば、患者の遺族の気持ちまで考えられなかった、遺族からどう見えるかということまで気が回らなかったということだろう。自分の経験で例を挙げよう。雑誌の取材で一般の人のインタビューと顔写真が載るとする。写真の大きさからしても、解像度の点からしても小型のデジカメで充分だったとしよう。しかも、カメラマンを伴わなくても、自分で撮るシロウト写真でも充分だと判断した。

それでは、小型デジカメ1台で一人で出かけて、取材がうまくいくのか?

答えは否だ。

まず、一般の人たちにとっては、雑誌に載るのは一生に一度の一大事である。編集者にとっては日常に過ぎなくても、一般の被取材者にとっては特別なのである。プロの編集者はどんな仕事っぷりかと期待に胸を弾ませているはずだ。でも、撮影をポケットデジカメで行われたらどう思うだろう。自分が思い浮かべていた取材風景とのあまりのギャップに気落ちして、気分的にも落ちて取材もうまくいかなくなるだろう。

逆に小さな記事と写真でもちゃんと大判を持ったカメラマンを連れて行ったとしよう。被取材者は「さすがプロは違う」と張り切るだろうし、気分的にも高揚して取材もうまくいく。取材後も周りに「やっぱり、プロは違うよ」と吹聴してくれるかもしれない。
(つづく)

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