August 27, 2004 12:00 AM映画評「誰も知らない」 上主演の柳楽優弥君がカンヌ国際映画祭で最年少で最優秀男優賞を取ったことで話題になっている、「誰も知らない」を観た。 最初に公開された渋谷のシネアミューズでは「朝行っても、夕方の回しか観られない」なんていう情報も入ってくるほどの注目作。新宿で公開されるまで我慢してから観に行ったのであるが、平日の昼間にも関わらず20分前で売り切れ状態で入れなかった。結局、三時間ほど待って次の回に観ることにした。それぐらい注目されている作品ということだ。 「ディスタンス」「ワンダフルライフ」などで知られる是枝監督の作品で、'88年に実際に起こった巣鴨子供置き去り事件をモチーフにしている。母親に置き去りにされた戸籍の無い子供達4人が、どのようにして生活したかが描かれている。 まず、驚くのは子供達の演技の自然さだ。通常、子役の演技というとステージママに厳しくしつけられたかのような器用な演技や演出によるだろう過剰な子供らしさがあったりするものだ。それが、全く感じられない。まるで、本当に子供達がこのような生活を送っているおり、そこにカメラが入り込んでいるかのような印象。あえて脚本を渡さずに、当日現場で子役達の耳に吹き込んだという監督の演出方法の勝利だろう。 また音楽による演出を押さえて、生活音と環境音を中心にしたサウンドトラックが構成されているので、まるで自分がその場にいるかのような臨場感を感じる。特にトイレの流れる音やクルマが通り過る音、商店街のざわめきなど、我々が普段接していながらも気に留めていないような生活音。それらを劇場という空間でスピーカーを通して聞くことによって、新たに「発見」できるというのも興味深い。 映画のディティールに関しては、驚くほど丁寧かつリアルに描写される。それは、「リアルな描写=悲惨」という単純な構図ではなく、まるで本当に子供達がそこで生活をしていて本当に散らかしたり汚したり落書きをしていると思わせる種類のリアルだ。実際に時間をかけて撮影されているからだろうけれども、主役の柳楽君は途中で声変わりするし、子供達の髪は伸び、背は高くなるし、シャツは汚れて襟首は伸びてデロンとなっていくし、クレヨンはチビていくし、カップヌードルのカップで作ったプランターは薄汚れながら成長していく。それでも、画面から異臭が漂ってくるような汚らしさはない。そこら辺のバランス感覚も絶妙だ。 映画の楽しみの一つとして作品中のディティールの細かさがあるが、この作品では徹底してリアルで誤魔化しが無い。子供達の成長の様子も合わせてそういった部分が、作品をドキュメンタリー的に見せている所以だと思う。 (つづく) トラックバックコメント
この映画についてコラムで読めるとは思わなかった! 気になって何度か行ってみたけど、なかなか入れなくて、ずるずる後回し・・・早く観なきゃね(^x^) Posted by: のんたん : August 27, 2004 01:55 PM実際に小学生の頃ネグレクトされて育った友人がいるのですが 自分も観ました。 はじめてかきこみます。 距離感という点では前作のディスタンスとも共通点が多いと思います。 Posted by: kakio : August 28, 2004 10:56 PM映画はまだ観ていない 一緒に泣ける人いたら・・・よかったのにね 観ようか悩みましたが、やっぱり、観ようと思います。 そろそろ、ケリをつけるという意味でも、観に行こうと思います。 Posted by: kanata : August 30, 2004 02:39 PMコメントする
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