October 12, 2004 12:00 AM

長いお別れ 上

日曜の昼下がり、いつものようにベッドで新聞を読んだり、ネットをチェックしているとケータイのメール着信音が鳴った。誰からかなと思い、何気なくケータイをとると入院中に一緒の部屋で「ガン漂流」にも登場する江戸っ子Sさんからのメールだった。

いや、正確には江戸っ子Sさんのケータイからのメールだった。そのメールは息子さんからのもので、Sさんの死を知らせるものだった。メールによると入退院を繰り返したあと、昨日の朝5時42分に亡くなったそうだ。最後は苦しまずに、眠るように息を引き取ったとのこと。

Sさんとは夏前ぐらいまで連絡を取っており、それ以前に入院しているときは病室に顔を出していた。ケータイでのメールのやりとりを覚えられたばかりで、自分のアドレスを入れてあげた。その後はケータイメールでやりとりをした。退院したら食事に行こうと約束したのだ。

夏の初めくらいにそろそろ大丈夫な頃合いかと思い食事に誘うメールを送ったところ、「足の調子が悪いので、もう少し待って」との返事が来た。それに対して「すぐに寒くなるから、その前にぜひ行きましょう」と送ったのが最後の通信になった。

Sさんは最初の半年間に及ぶ入院の際に一番お世話になった方で歳は60代後半ぐらいだろうか、工務店か何かの引退した社長だったと思う。歳は親子ほど離れている方に、失礼ないい方かもしれないが不思議と気があった。同じ病室になると、それこそほぼ24時間ずっと一緒に過ごすことになる。だから、相性とか気質が合わないとそれこそひどい目に遭うのだが(この前の入院の時の糖尿ハゲおやじのように)、Sさんとは一緒にいても気が楽でリラックスして過ごすことができた。

自分の父親ぐらい年上の方に失礼かもしれないが、同じ病室で同じ病気と闘う仲間として、戦友のような友情を感じていた。奥さんや娘さんとも親しくさせて頂き、入院中は随分と心を和ませてもらった。

本来なら倦怠と苦痛が渦巻くはずの入院生活がSさんのおかげで、ある意味オレにとって知的探究の場になった。Sさんはインテリであると同時に、経験豊富な親方、家庭人、または趣味の人でもあった。Sさんに浅草のすき焼きちんやなどいろんなおいしい店や有名店を紹介してもらったし、かつてやっていたというダンスの話や麻雀の話も聞かせてもらった。

印象的だったのは娘さんの話。奥さんも凄くキレイで感じのいい方なのだが、娘さんも奥さん同様明るくて気のいい感じの方だった。Sさんは、娘さんがお嫁に行ってないことを心配されていた。娘さんは料理学校の先生になるほど、料理の腕が達者なのだそうだ。

息子さんも何度か見えられたときがあるのだが、体格がいい方で細いSさんとは似ていない印象だった。今日メールを下さったのは、その息子さんだ。知らせてくれて本当に有り難い。

つづく

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コメント

私は先日、元同僚の死の知らせを受け、それからそのことが頭から離れず、思い出してばかりいました。お葬式に行くわけでなく、彼女の死に何もしなかったけど。2,3日前に元同僚を知る友達に電話をして、そんな気持ちや元同僚の話をしました。それから少し私の気持ちは変わった気がします。

Posted by: のり : October 12, 2004 10:55 AM
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