November 12, 2004 12:00 AM

映画館という名の至福 2

November 09よりつづく
しかし、フリーになってまた状況が変わった。日記などをチェックしている方なら分かるかもしれないが、映画を沢山観るようになった。しかも、一日二本とか劇場をハシゴして浴びるように観るようになったのである。少し前なんか、試写と劇場に行きすぎて腰を痛めてしまった位だ。何が変わったのか。それは、フリーになって平日の昼間に劇場に行けることになったのが大きい。よっぽどの話題作の単館興行でない限り、平日の昼間だったら余裕で観ることができる。会社員時代は当然週末しか劇場に行くことができないので、くたびれ果てている休日にわざわざ列んでまで映画を観たいとは思えなかったのだ。

時々友人とかに「あの映画はつまらなくて、頭に来た」という様な話を聞くことがある。しかし、正直言って今ひとつそのコメントにピンと来なかった。別に自分の識眼が優れていて、駄作にあたっていないなどという訳ではない。「ワイルドスピードX2」や「トゥームレイダー2」の様などうしようもない作品も劇場でしっかりと鑑賞している。本当に映画好きだったら、そういう作品にあたったら怒りを覚えて当然じゃないのか。グルメ評論家がマズい料理にあたったときのように。

そのようにして思いを巡らせていったら、ある結論に思い至った。オレは「映画が好き」というよりも「映画館が好き」なのだ。映画が好きなのはもちろん、その入れ物である映画館が好きだったのだ。それならば、くだらないB級作品を観ても腹が立たない理由が納得できる。何しろ劇場が好きだから、行ったというだけである程度満足感を味わってしまっているのだ。映画館を単なる映画をロードするための道具みたいに考えてしまっている人には理解できないかもしれない。

クラブなんかと比較すると分かりやすい(クラブに行ったことがないなんて人は無視ってことで)。クラブではDJがリアルタイムでレコードをミックスしてプレイしている。でも、音だけを聴きたいなら、ミックスCDを買えばいい話で、わざわざ混み合っていて暑苦しいクラブになんか行く必要がない。どうしてクラブに行くかと言えば、DJプレイを生で聴きたいというのもあるけれども、クラブの雰囲気や来ている客とのコミュニケーション、知り合いと会ったり、誰かと知り合ったりするのが楽しいから行くのだ。音楽だけならCDで、酒なら飲み屋で、出会いだけならネットでもできる。そうじゃなくて、クラブというエクスペリエンス(経験)すべてを楽しみたいから行くのであって、クラブでの音楽はその構成要素の一つにしか過ぎない。

オレにとっては劇場に足を運ぶというエクスペリエンスにおいて、作品の出来不出来っていうのは構成要素の一つにしか過ぎないのだ。無論、いい作品の方がいいに決まっているけど。
(つづく)

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コメント

なるほど!

私は、カフェやバーがそれにあたるかも。
家でお茶したりお酒飲んだりするのとは、決定的に違いを感じる。
そりゃプロの味だから、ってのもあるけれど。
もちろん、美味しいに越したことはないけれど、きっとあの場が好きなんでしょうね。


つづきが楽しみ♪

Posted by: めい : November 12, 2004 01:51 AM

はじめまして。
”映画館が好き” というのすごくわかります。
ここ数年、よく映画館に行っているのですが、
子供連れなので、ほとんどがファミリー向け映画です。
たまには、恐怖で縮こまる映画とか
どろどろ恋愛映画とか観たいなぁと思いますが
ファミリー映画しか観れなくても映画館に足を運ぶのは
映画館という空間がすごく自分にとって
気分転換できる場所なんだって気づいたからなんですよね。
暗い中で数時間、目の前のスクリーンを観るだけに集中する。
それでとってもリフレッシュできます。
私も、映画館が好きです。

Posted by: かおり : November 12, 2004 05:29 AM

映画も好きだけど映画館が好きというのと、クラブに
例えての発想に目からウロコです。そんな風に考えた
ことなかったけど、読んでいてすごく共感しました。
買い物なんかもそうですよね。通販より、実際に街に
出て店に足を運んで買うほうが楽しいし。通販には
通販の楽しみがあるんですけど、それは映画で言うと
部屋でビデオって事になるのかなぁ。

Posted by: 中村 : November 12, 2004 05:54 AM

ビデオのように、自分の意思で停止したり、早送りできるっていうのは、やっぱり自分側の世界〈日常〉なんですよね。それに比べ、映画館は、その作品世界に足を踏み入れる感じ、トリップ感が得やすい構造なのでしょう。映画館自体が好き、というのもよくわかります。これはほんと座席、スクリーン、音響、ロビーの雰囲気、客層、立地などさまざまな要素がからみあってきますよね。個人的なお気に入りはシネマライズかな。新宿高島屋のテアトルタイムズスクエアも見やすくてSPEC的には申し分ないけど、ロビーの雰囲気づくりというか、異空間へいざなう演出が物足りない気がしました。

Posted by: 大五郎 : November 12, 2004 12:07 PM

そっか!場所も含めて好きなんですね。なんか納得しました。私には、余裕がない時に気分転換に映画という発想があまりないんですね。
そういうことで言うと私はずっとクラブでしたね。あの小さい空間で体いっぱいに感じる音が好き。レゲエ、テクノ、ハウス・・・を感じる場所。
ビデオはジムジャームッシュ、よく見ました。ウォンカーウェイ作品もすかさず見にいってたし。それから・・友達に園子温の”桂子ですけど”に誘われて行ったこともあった。月2,3本は見てましたね・・。
思い出すといろんな劇場があるし、雰囲気もあるんですよね。そうだよなぁ・・。こんなにいろんな映画を紹介してくれている奥山さんを前に・・本当に最近見てなかったですね。

Posted by: aki : November 12, 2004 11:36 PM

映画館、自分も好きですよ。本編が始まる前のあのなんとも言えない(緊張感にも似た)雰囲気と匂いは、「大人1800円」の中に料金として含まれている気がします。
俺は大病をしたことでよく映画館に足を運ぶようになりました(長時間太陽の光に当たれないんですよ。昨日も『血と骨』観てきましたよ、カルマ団子でお腹いっぱいになりました)。
おかげで、ってこともないんですけどこの歳になって映画館の魅力を再認識しましたね、あぁ、上映前の予告編が好きだったことも思い出しました。
普段は食べないような着色料キツめのカラフルなアイスや、チュロスだかチュリトスだかわかんないけどシナモンまみれの棒菓子、キャラメルポップコーンなんかを“敢えて”両手いっぱいに買い込んで俺は映画と一緒に映画館を楽しんでます。

Posted by: ビッチ姫 : November 13, 2004 12:19 AM

題名が「映画というなの至福」でないことに今更ながら気付きました。
学生の頃、一日かかって、名画座で3本立て800円の映画を見て外に出たときの、私が私でない感じを思い出しました。ここはどこ・・・というあの感じ。
ビデオでは決して味わえない感覚ですよね。

Posted by: なみ : November 13, 2004 06:34 PM

クラブというより美術館とか博物館に行きたい気持ちに近いかな、映画館に行くのは。
エンターテイメントというよりはじっくり落ち着いて見たい映画の時、
近くに「ファミレスのガキんちょ」みたいのがいると
大ハズレの最悪パターンなので、そういうのは自宅で見ようかと思う。
自宅では恥ずかしながら、歴史モノの時は地図帳と年表を近くにスタンバイしてたりする…W

Posted by: TOM : November 14, 2004 07:41 PM

私にとってはライブがそれに当てはまりそう。
好きなミュージシャンと同じ時間を共有し、生音に触れ、ファンが集って盛り上がるってのは、ライブビデオでは絶対に味わえないものだ。例えフラットな会場の一番後ろでも・・・。

Posted by: squirrel : November 14, 2004 10:52 PM

おはよう御座います。映画は大好きです。一度映画館で見たのにまた見に行ったりDVD買ったり・・人間は凄いなぁ「こんなの創れるンや!」と感動します。ライブも行きます。クラブも行きます。サッカー観戦も好きです。最近「これはいい!」と思ってるのが演劇・舞台を見に行く事です。役者が生の声で汗をかいてストーリー展開されているのを見るとそれだけで「何か、何か感じるもの」があります。兎に角何でも見に行っています。今週末は「リンダリンダ」を見に行きます。でも休日に家で一人でクラシックを聞きながら小説や、新聞を読むのも大好きです・・・落ち着くんです。・・・でも出来る限り色んなものを観たり聞いたりしたいなぁと思っています。

Posted by: yoshimi : November 15, 2004 10:27 AM
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