April 08, 2005 12:00 AM

歴史アレルギーな男 下

April 05よりつづく

けれども、その秀君が興味を持っているのに、オレが全く興味を持っていないコンテンツというものがあった。それが歴史ものである「三国志」だったのだ。秀君が三国志のマンガを読んでいたり、本を読んでいるというのは何となく知っていた。けれども、それに関しては特になにかを話したりするということは、特にしなかった。オレ自身「三国志」が中国の歴史物であることくらいは知っているが、それ以上は何も知らないのだ。話したくても、話せない。

世の中のお父さん達が子供と話題を合わせるために、ポケモンのカードゲームに挑戦したりしているとしよう。オレが何となく「三国志」に興味を持ったのも、秀君と共通の話題を少しでも増やしたかったという「お父さん的な気持ち」があったことは否めない。そういう年に自分もなったということなのだろう。

別に「三国志」である必要もなく「水滸伝」でも「新撰組!」でも「白虎隊」でもかまわなかった。ここでは、秀君と共通の話題を持ちたいという気持ちが強かった。

そんな折、いきなりコミック三国志マガジンなるものが発売された。知らなかったのだが、今って三国志コミックブームなのだそうだ。秀君はそういった流行をバッチリ押さえていたことになる。

三国志っていう1テーマだけで、コミック雑誌が成立しているっていうのが面白そうだったし、ネタになるかと思い映画に行ったとき買ってみた。そして、上映までの間時間つぶしに読んでみることにした。

その瞬間、オレの動きは止まった。「濃すぎて、1ページも読み進められない」のだ。「たかだかマンガなのに、何を大げさな」と思うかもしれない。でも、今オレがやろうとしたことはガンダムに関する知識が全くないのに、ガンダムAを読もうとしたのと同じ行為なのだ。この雑誌はある程度ガンダムに関する知識を持っている人達向けに描かれている。

この「コミック三国志マガジン」も同じで、すでに三国志のストーリーや世界観を知っている読者向けに発行されているものだったのだ。連載ものがまとまった単行本のように順を追ってストーリーが進んでいくのではなくて、もうそういった本はとっくに読んでいる人向けに描かれている。いわば、コミケで売っている同人誌に近いノリだったのだ。

おかげでせっかく買ったのに、1ページも読めないままに家に持ち帰ってきた。

それからどうしたかというと、基本的には負けず嫌いなもので「三国志」というものを自分なりに勉強してみることにした。伯父が大学で中国史を教えているので、早速連絡を取り定番的な本を紹介してもらった。それは講談社から出ている吉川英治版「三国志」全八巻だそうだ。早速、ネットの古本屋でその本を注文した。

さらに、折のいいことに、こんなものまでタイミング良く発売されるところだったのだ。こういうゲームって、結局キャラを知らないと面白くないし、勉強した知識をおさらいするためにも買ってみることにした。

子供の頃にPCで少し「三国志」のシミュレーションはやったことがあったし、少しは分かりやすくなっているだろうと思いきや、開始して10分で投げ出してしまった。もう、難しい。何から初めていいのか分からなかった。ゲームではキャラクタや世界観、歴史を知っているのが前提な上、基本的な操作やゲームの進め方まで知っていることが当たり前になっていたのだ。

なので、このゲームに関しても右も左も全く分からずに、アマゾンで1600円もだして攻略ガイドブックを買うハメになってしまった。

これまでに手に入れたアイテムの難易度を並べてみると

ゲーム>マンガ>小説

ということになる。普通逆だろう! 小説とか本を読むのが嫌いな人がマンガを読むわけだし、マンガすら読まない人達がゲームをするものだと思っていた。しかし、この21世紀の世界では、逆でゲームやマンガを楽しむために、小説で一般常識的な基礎知識を固める必要が出てきてしまった。ゲームやマンガを楽しむのにすら、教養が求められる時代なのだ。

今の時代我々はもしかしたら、マンガやゲームをより深く楽しむための知識を得るために学校に勉強しに行っているのかもしれない。

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コメント

奥山さん!

Posted by: bifusuran : April 8, 2005 12:50 AM

最後の二行、納得!あまりの冴え過ぎ加減に
きっときっとカテーテル抜去もソッコーですね☆

Posted by: 由美 : April 8, 2005 12:55 AM

動機がかわいい。
でもわたしも妹がいるからちょっとわかる。

昔付き合った人が
三国志が大好きで、マンガを全巻借りました。
吉川英治版は王道みたいだったけど、
その頃は興味沸かなかったな〜。

歴史ゲームも好きな人は好きみたいだよね。
友達が信長の野望とかにはまってた。

歴史ってなぜはまる人がいるんだろう?
その時代に生きてみたかったのかもね。

Posted by: ゆう : April 8, 2005 01:48 AM

今見たらアップされてて嬉しい!!お元気ですか?!私も歴史(特に日本史)アレルギーもしかしたら日本史LD?(学習障害)です。昔NHKで三国志の人形劇やってましたね。父が好きで見てました。一緒に見てた気がするのですが登場人物の名前は覚えてるのに、ストーリーは思い出せません。全放送ビデオにとってたようなので今度見ようかな?あの音楽は好きでした。いいおにいちゃんですね♪

Posted by: RIEMAMA : April 8, 2005 02:06 AM

あッ 奥山さんだぁ♪ どうも改めて初めまして*^▼^* 

Posted by: sae : April 8, 2005 04:20 AM

私は三国志が子供の頃から好きだったので、興味深く読ませてもらいました。奥山さんのいままでの編集者やライターの経験から、どの武将が好きか興味あります。やはり私は、玄徳や孔明になりますけど・・・。最近のゲームは難しいですよね。ドラクエさえクリアするのに手惑いました!三国志はマンガの横山光輝「三国志」がおすすめです。以前、自分の住いの近くに住まれていてびっくりしました!奥山さんの住まれていたとことも距離にすると近い所かと思います。ぜひぜひ一読されて見て下さい。
治療は辛いでしょうがたくさんの読者の方がいらっしゃいますので、乗り切って下さい。まだまだ、イアンカーティスのトコとかに行くのに早すぎます。

Posted by: atanabe : April 8, 2005 05:12 AM

わぁ〜〜ん(嬉泣) 奥山さん ありがと!!!

Posted by: ペコ : April 8, 2005 10:17 AM

実際この目で見たわけでも無いけど「歴史」というものを色んな時代から追って観続けていくと、日本がどうして今、こうなってるのか?とか、アメリカって言う国が出来た時の史実とか、「三国志」にある、国と国・人と人の繋がりが見えてきて自分に反映されて面白いんですよね。理解する迄に時間が掛かるけど少しでも歴史からくる、今の現状の「繋がり」が見えて時は「ははぁん。なるほど」となって面白いんですよね。

又、その後どうなったか教えて下さい。

Posted by: yoshimi : April 8, 2005 10:44 AM

新分野に目を向けるきっかけは、そういうのが自然で運命ですね、心をヒットするものがあったり、で、ちょっとプロジェクト的にはまる! さて、遅ればせながら、初めまして、「32歳...」は、アマゾンで入手、泣きながら笑いながら荻窪南側住人としてローカルを思いながら、読みました、2年前に私事情により「『たられば』後悔中」に検索していて、奥山さんにめぐりあいました。 入院中、ですよね、また新たなエピソードが? 更新楽しみにしてます、May

Posted by: may : April 8, 2005 12:38 PM

新分野に目を向けるきっかけは、身近な誰かの影響っていうのが自然で運命ですね、心をヒットするものがあったり、で、ちょっとプロジェクト的にはまる! さて、遅ればせながら、初めまして、「32歳...」は、アマゾンで入手、泣きながら笑いながら荻窪南側住人としてローカルを思いながら、読みました、2年前に私事情により「『たられば』後悔中」に検索していて、奥山さんにめぐりあいました。 入院中、ですよね、また新たなエピソードが生まれつつ? 

Posted by: may : April 8, 2005 12:41 PM

うわぁー、なるほど〜!興味深いですね。
私の小さい時にこういうゲームなどがあれば、早くから深く勉強する楽しみに気づいたかもしれないなー。
私もかつて歴史大嫌いでした。
歴史なんて、テストのために知らない人の難しい名前や年号覚えるだけの勉強だと思っていたから、嫌で嫌でしょうがなかったことしか覚えていません。
歴史に興味を持てるようになったのは、ごく最近のこと。yoshimiさんの意見に近い感覚を持てるようになってからかしら。
何かのきっかけで、新しい分野に興味を持てるようになるのもまた楽しいですね。
私もまた、奥山さんが三国志のどの人物が好きか知りたいな。


Posted by: kisuke : April 8, 2005 03:15 PM

う・・ん、ゲームはこんなに奥深いものだったのか。子供のゲーム遊びをバカに出来ないな。私も一歩子供を少し理解した。

Posted by: のり@ : April 8, 2005 04:06 PM

最後の2行に納得してしまいました。
久しぶりの奥山さんのコラム、嬉しいです。

奥山さんのこのコメントを世の勉強嫌いな
中学生・高校生に言ったりしたら、みんな
勉強真剣にやるかもですね。

文科省も変に対策を取らなくて良くなる事態につながりそう♪

Posted by: メグ : April 8, 2005 10:25 PM

ガンダムAって、雑誌の事だったのか・・。
確かに、手にとる事もないだろう本だな。

Posted by: けいこ : April 8, 2005 11:08 PM

すげーおもしろいっ
納得したっ

Posted by: っっきむ : April 9, 2005 02:25 AM

やっぱり 身近な大切な人の影響って 小さくないですよネ
頭のやわらかい頑固オヤジ って感じ?を勝手にイメージしてしまいましたが、ちょっと理想の父親像で羨ましくなりました
奥山さんの次のターゲットは何ですか?
 またまた楽しみにしています!

Posted by: giraffe29 : April 9, 2005 05:55 AM

奥山さんのおっしゃる通り!!
私も、時代考証が出来ていたら、もっと大河ドラマを
楽しめるのにって思います。
・・・子供の塾の社会の教科書が良く出来ていて、
とても面白いのです。
学校の勉強は年号覚えるだけ、あれではね。

Posted by: みさお : April 9, 2005 03:35 PM

奥山さんの日記(?)発見!嬉しくて泣きそ−になりました(>_<)ズット「さるさる日記」を見てました○◎更新されるカナ?と思って、更新のぉ知らせメールにも登録したんですょ!!でも、日記ゎ2/26でSTOPしてて。。。めちゃくちゃ心配してたんデス〜。゚(゚´Д`゚)゚。でも、これで少し安心です♪
。。。三国志、スーファミでゃったことぁります☆今ゎPS2の真・三国無双4をゃってます♪色んな武将がぃて、実際に居た人達ゃ、実際にぁった戦ぃだからゃってて楽し−です!簡単にだけど、1人1人の伝記も知れて勉強になるし、考ぇ深ぃモノがぁります。。。

Posted by: ★紀乃英★ : April 10, 2005 04:36 AM

始めまして、奥山さんと同性の横浜在住の37歳男です。
昨年まで海外で仕事をしていました、奥山さんの本を読んだのはお亡くなりなった後でした。
実は、私の弟も癌で2000年より闘病していて、入退院の繰り返しをしていました。(外科手術・転移・抗癌剤投与の繰り返し)
奥山さんの本を読み共感した無知な私は奥山さんの言葉を噛み砕き、弟を元気づけていました。常に前向きで弱音を吐かない強い精神力に感銘し、弟に同様に励ましたものでした。
実は今月12日に天寿をまっとう致しました。
最後は苦しくもなく、脳震盪のように『目か回る』と言い、息を引き取りました。
私が帰国して病気と、不安との闘いに言葉での応援でしたが1年間闘えた事が私自身の救いになったような気がします。
自分が死を迎える事は怖いのか、それとも自由の利かない体に嫌気がさすのか?
弟の体を見ていろいろと話し、まだまだ自分の中では答えの出ないことですが、ただ一つ弟と奥山さんとの共通の意思は、病気に前向き闘った、病気には残念ながら負けてしまい、体という物体をなくしたが、闘う勇気と生きようとする精神は家族をはじめ周りの人間の心に強く強く残るものだと思います。
奥山さんが懸念していた『自分を忘れないでほしい』は今こうして私の心に生きている事が忘れないって立証となっています。
最後に病気とは本当に憎いものです、しかし病気を前向きに取り組み、闘うという意識をもった瞬間に病気は家族・仲間・本人の意識を ここまで強くするものなのかと感じました。
病気に勝って元気な姿になる事が一番いい事ですが、負けてもまた本人の意思が残る事を実感いたしました。この心境は経験した者だけかと思います。しかしこの退屈なコメントを読んでいたたいたならば、消して病気で愕然とせずに、前向きに生きれば必ずや後悔しない生き方ができるはずです。
まだ気持ちの整理がつきませんが、弟の死をいつか痛烈に感じて悲しくなる日が来ると思いますが、弟の意思は悲しむ必要がないくらい頑張ったのだと笑い飛ばしたく思います。
脈絡のない文ですが、病気に負ける事はないのだ!体は負けても精神は皆の心に残るのだ!っと言いたいです。
横浜 奥山

Posted by: 同性の37歳 : July 24, 2006 04:09 PM
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